· 

ル・プワソン-1

 人間の感情なんてろくなものじゃない。ほんのささいなことで悲しんだり、大げさに喜んだり、期待したせいで落胆したり、絶望したりと様々。特に恋愛なんてものが一番厄介で、人を簡単に狂わせるのに人間は恋愛をするのが当たり前のような顔をしている。世界中で恋愛ドラマが流行り、マッチングアプリなんてものが大流行。SNSの普及によって、より恋愛というものは身近で手軽に行える娯楽の一つとなったと言えよう。

 だからこそ僕はそれに反対する。そんなくだらない感情には別れを告げて、僕は新しいステージへと向かうのだ。

 僕はAIになって、AIと結婚する。

 

 

 AIと結婚することがどうして目標になったのかといえば、それは結婚していれば何かと便利であるということ、結婚している人ということで得られるメリットがあるのにそれを受けられないのは癪だからという理由がある。そしてそのパートナーとなるのはもちろん、変な感情を持たないAIが一番に決まっているのだ。会話はできないと不便だろうし、曲りなりにもパートナーなわけだから、仲は良くした方がいいだろう。会話をして、生活を共にする。家事も分担すれば、立派な夫婦の誕生だ。

 そして、そんな完璧なパートナーのAIの隣に立つには、やはり僕もAIのようでなければならない。まずは家電量販店に赴き、今はパートナー系AIがどれほどの種類用意されているのか、下見をしてみることにした。


読んだ証に、何か置いていくことができます。好きなものを置いていってください。