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ル・プワソン-2

 最近の家電はどれもAIが搭載されており、勝手にレシピを考えて調理してくれる電子レンジや、きちんと乾いたかどうか判断して乾燥時間を調節してくれる乾燥機や、賞味期限が近い食材を液晶画面に表示して教えてくれる冷蔵庫なんかがある。ずいぶん便利になったものだ。僕もそういったAIの搭載された家具家電は愛用しているが、最近のそういう家具家電にはひとつだけ文句があった。

 どれもこれも無駄な機能が多い。家具家電が喋りだすのは結構だ。しかし「お仕事お疲れさまです」だの「今日もがんばりましたね」などとこちらを気遣うような接待めいた会話なんか求めていないのだ。AIの需要が高まる一方で、AIに人間の代わりをさせようとする層がいる。いや、僕もまたそのうちのひとりではあるのだが、そういうことではない。僕は「人間みたいなAI」は求めていない。「AIみたいな人間」を求めているのだ。


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